習近平政権の経済ブレーンは誰か?
ハーバード出身の国際派・劉鶴
とは何者なのか?
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この論評発表から3日後の5月11日、国家発展改革委員会と交通運輸部、つまり北院サイドがこの権威人士の論評に真っ向から歯向かうような「交通インフラ設備重要プロジェクト建設3年行動計画」に4.7兆元を投入する景気刺激策を発表した。
リコノミクスはもともと、劉鶴が主にまとめたといわれる三中全会コミュニケの経済政策部分とさして大きな違いはない。劉鶴はハーバードで学んだ国際派であり、ロバート・ゼーリック[1953~/第11代世界銀行総裁。アメリカ合衆国元通商代表]と劉鶴が共同で打ち出した「中国2030」も市場経済への完全移行や、政府の役割を見直して、制度や法令をより重視すること、土地改革や戸籍管理制度改革、財政制度改革など政治改革にあたる部分まで踏み込んでいる。
李克強も劉鶴も自由主義経済学派であり、法治主義であり、政治改革に踏み込むことの必要性を認めている。二人が十分に協議し、方針を固めて協力しあう余地はあるだろう。だが、そうならないで、本来向かうべき経済政策の方向から、権力闘争に影響される形で、どんどんずれていった。
シーノミクスとは「トップダウンの国家資本主義」
習近平の経済ブレーン劉鶴と李克強の間に一番大きな違いがあるとすれば、劉鶴は共産党の支配政党としてのより強力な役割を経済政策の中で認めている点だ。